2023年5月18日

DH Labs :Pro-Studio エッセンス①

白物家電を扱う大型電気店でピュアオーディオ機器を扱っていた時代ってある意味、今よりオーディオに夢があった気がするんですよ。

私は中学時代にピュアオーディオを始めたんですが、そのころ頻繁に通っていたのは秋葉原だと石丸電気駅前店で、あそこに行けばスピーカー、プリメインアンプ、CDプレーヤー、カセットデッキ等々がずらりと並んでいて、

中学生が小遣いで買うのは厳しいけども、頑張って貯金すれば手が届く範囲の価格帯に魅力的な選択肢がむちゃくちゃ多かった。楽しくて仕方がなかったですね。

だから、特に若い世代の可処分所得が当時よりも(少なくとも体感的には)減っているのに、ピュアオーディオ機器の価格の高騰著しい現代ってなんか夢がない。当時は考えられないほど超高額な機器が増えているのは目指す頂点が高くなったという意味では勿論夢が大きくなったとは思いますけど、

貯金すればいつかは買える価格帯の機器が減っているので、実現可能な夢もまた減ってしまっているわけですよ。平均年収は下がり、ピュアオーディオ機器の平均価格は上がる。・・オーディオに夢を抱く層が減らない方がおかしい。

そしてケーブルも高額化著しいのは御存知の通り。ハイエンドケーブルは音いいですよ、そりゃ勿論。値段だけのことは十分あります。ですが何十万、何百万のケーブルを誰もが買えるわけではない。オーディオ再興を願う者の1人としてはだから、ケーブルも小遣いを貯めれば買える価格帯にもっともっと、魅力的な選択肢があればいいのにと真剣に考えているわけです。

米の名門、DH Labsからこのたび発売されたアナログRCA/XLRケーブル、「Pro-Studio エッセンス」 は税別定価 40,000円というまさに毎月の小遣いを少しずつ貯めれば買える価格なんですが、

その内容たるや、それこそ80年代末までの日本のオーディオ全盛期に存在しなかったハイレベルなもの。当時よりマーケットこそ縮小しましたがこの間オーディオは着実に進化を遂げたのです。超高額なハイエンドケーブルを設計開発する過程で産み出された技術と素材を採用している現代の入門クラスのケーブルは、当時のフラッグシップ級ケーブルを性能面で上回ることもしばしば。

こちらは Pro-Studio エッセンス RCA

Keith Eichmann設計のRCAコネクター。御覧の通り中央のホットピンは中空。素材はテリリウム銅(99%銅)。この価格帯のケーブルが採用するコネクターのほとんどは導通部が真鍮あるいはリン青銅製。真鍮、リン青銅は導電率がテリリウム銅より遥かに劣ります。

ケーブル本体は、導体にはOFHCC(連続結晶長粒銅)の表面を、一般的な純銀よりも高精度なHigh-Fine Silverでコーティングしたものを採用しているんですが、OFHCC・High-Fine Silver 共に米国内調達。これを明記できるケーブルメーカーは少ない。

そして絶縁体は、ハイエンドケーブルでよく使われるPTFEよりも誘電率が低くて高性能な独自のAir Matrixを採用。

その他シールド等も価格が信じられないハイレベルなものばかり。。

こちらは Pro-Studio エッセンス XLR

XLRコネクターの導通部も真鍮等しか使っていない例が実際多いんですが、Pro-Studio エッセンスXLRはニードルコアに純銅を使用しています。

RCAを試聴してみましょう。今日はCDを。

山下達郎「アトムの子」。RCAはコネクターの導通部に純銀メッキを施しているからでしょう、高域が非常に気持ちよく伸びます。

タン・ドゥン「交響曲1997」。1曲目冒頭で大昔の遺跡から発掘された鐘の大群が打ち鳴らされるんですがPro-Studioエッセンスの解像度の高さは価格破壊級で、1つ1つの鐘の音が混濁せず質感は実にリアル。。

現代のハイファイ録音だけでなく、ステレオ初期の古い録音もこんなに真っ当に聴かせる入門クラスのケーブルって私はほとんど知りませぬ。。ナローの良さをちゃんと表現できてる。。

最近の録音のSACD。エアー感をしっかり出してますよ。

CDだけ聴く予定だったんですが非常に気に入ってしまったのでもう1回投稿します。次回はストリーミングを聴きましょう。S田でした。